2009年08月18日

木島日記

12〜3年前、兵庫県の塩田温泉と言うところに行った事があった。
その温泉の近くに、柳田國男記念館なるものがあったのだが、
結局、見ずじまいだった。
そもそも、柳田國男=遠野物語くらいの知識しかないし、
民俗学と言うものに関しても、いささかのものも無く、
民俗学というより、大阪万博公園の【民族博物館】を楽しむ程度なので、
全く、無視して、温泉を楽しんだ次第である。

民俗学という学問はどうにも不可解なものだ。
抜きん出た、教養の人にしか必要の無い学問かもしれない。
最も、色んな民族や人種の違い、歴史、風習その他諸々を
知るという事は、それなりに楽しいが、
肝心なところ、それを知った上で、どう理解しあえる方法を導くのか、
と、言うところがなんだか非常に曖昧な気がする。

いずれにしても、難しい学問とは無縁の一平民の
私如きには、必要の無いものかもしれないが、
感性や、嗜好や、習性の違う人のことを知るのは、
それなりに楽しいので、【民俗博物館】は好きだ。
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柳田國男の弟子
【折口信夫】をモデルに描いた、
漫画【木島日記】
サブカルチャーの代名詞のような作家
大塚英志氏によるものだが、
実際、『ようやるわ』と、思うほど、
勝手に折口信夫をキャラクターにしている。
それのノベライゼーションのほうが、お勧めだと思う。


木島日記

木島日記

  • 作者: 大塚 英志
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2000/07
  • メディア: 単行本




木島日記 乞丐相 (文芸シリーズ)

木島日記 乞丐相 (文芸シリーズ)

  • 作者: 大塚 英志
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 単行本





そもそも【多重人格探偵サイコ】シリーズでみても、
犯罪や人論に関して、あまりにもグロテスクかつ、
無味乾燥的に淡々と表現されるものだから、
結構、気分を害する、作家だ。

しかし、それをノベライズ
(自ら原作の漫画をノベライズする所なんて、よっぽどのへそ曲がりか変人か?)
すると、ちょっと違ったニュアンスが伝わるような気がする。

私は、映画などの原作をノベライズされたものを
更に、読み直すのは、わりと好きだからかもしれないが、
書き手の、心情や、人物の繊細なディティールも
文章になった方が、より、深く細かく分かるし、
人物や、ストーリーの情景を想像する楽しみもあるからだ。

稀代の民俗学者【折口信夫】はここでは、結構あんまりな書かれ方をしている。
ストーリーも、太平洋戦争に向かって、常軌を逸脱しつつある、
狂気の時代の始まりを、大日本帝国陸軍と現人神の統治する
最も悲惨かつ、最悪の日本を舞台に、
右翼思想の人から見ると、かなり『やばくない?』と、いうようなテーマだ。

最も作者はノンフィクションですから、と言い切っているいるから、
どうってことはないのだが、
実際の当時は、物語のように、狂った、愚かな、最悪な日本だっただろう。
戦争を体験し、生き延びた母を持っているからか、
戦争のことや、人論は、
なにを置いても一番に教育する家庭で育ったかもしれないが。。。。。
民俗学もその様な、時代を推進するのに一役買っていたことは事実だろう。
柳田國男と折口信夫との談話にある
「折口君、戦争中の日本人は桜の花が散るように潔く死ぬことを美しいとし、われわれもそれを若い人に強いたのだが、これほどに潔く死ぬ事を美しいとする民族が他にあるだろうか。もしあったとしてもそういう民族は早く滅びてしまって、海に囲まれた日本人だけが辛うじて残ってきたのではないだろうか。折口君、どう思いますか」
と、聞く柳田國男とはいったい何なのか?
そう、問われた、折口信夫はどうだったのか?

そんな事は知らん。
が、実際に死んでいった人たちは思うだろうな
『何を、知ったふうに!』と。。。。

小説【木島日記】が、やや嫌悪する作品が多い作者の物の中で、
何となく気に入っているのは、
折口信夫をはじめとする登場人物が、時代の中で、人論という感情と、
現実とを葛藤する様が好きだ。
それが、ひねくれ者ぽい作者にしては、小説の中では、
いやに率直に表されている様に、私には思えた。


タグ:ノベライズ
posted by みずほ at 17:45| 大阪 ☀| Comment(0) | ノベライズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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